第30回愛媛県理学療法士会学術集会
大会長  茶家 康吉
市立大洲病院

本年2025年は団塊の世代が75歳以上となり、地域包括ケアシステム実現のための重要な節目の年となります。加えて、近年のコロナ禍を通じて、医療・介護の現場を取り巻く状況は大きく変化し複雑化しています。それに伴い、理学療法士に求められる能力も高度化しており、個々の専門性だけでは対応が難しい課題が増えており、コミュニティ間での連携ならびに多職種協働の重要性が高まっています。

 こうした社会背景をふまえ、持続可能な地域づくりと時代に適応する地域医療・介護の実現に欠かせない「共創」という概念が注目されています。「共創」とは、単なる協力や分担ではなく、互いを尊重し合い、知識や経験を共有しながら、新たな価値をともに創り出していくプロセスです。理学療法士をはじめとする専門職が、医師、看護師、介護職、行政、地域住民など多様な立場の方々と手を取り合い、共に学び、共に考え、共に行動することで、地域包括ケアシステムの発展が可能となります。また、このような共創の姿勢は、職場内の信頼関係の強化や、専門職としての成長にもつながると確信しております。

 そこで本学術集会では、「共創」をテーマに掲げ、理学療法士としての専門性を深めるとともに、他職種との連携を通じて新たな知見を得る機会を提供したいと考えております。特別講演には、あき整形外科リハビリテーションクリニックの吉野一弘先生をお迎えし、地域包括ケアシステム構築に関する最新の動向についてご講演いただきます。吉野先生は、長年にわたり愛媛県における地域包括ケアシステム推進に寄与されており、その豊富な経験と知見は、会員の皆様にとって大変有益であると考えております。

 本学術集会が、専門職同士による知見の交流と新たな学術的価値の創出の契機となることを心より願っております。スタッフ一同、万全の準備を尽くして参りますので、会員の皆様の積極的なご参加および演題ご応募を、心よりお待ち申し上げております。