ご挨拶

第29回愛媛県理学療法士会学術集会
大会長  中尾聡志
愛ほっと訪問看護ステーション愛なん

 コロナ禍で大きく変わった日常も、少しずつ以前の状況を取り戻しています。
 そのような中でもどこか人と人の心の距離は以前とは違っていて、「近いようで遠い…」「何か以前と違う…」そんな感覚を持たれている方も多いのではないでしょうか。

 我々理学療法士の役割として、人と人とをつなぐ、人と社会をつなぐことが求められ、そのためには我々がもう一度「つながる」ことの意味を考え直す時期に来たのではないかと私は考えています。職場でのスタッフ間のつながり、近隣施設とのつながり、地域とのつながり、職種を超えたつながり…

 2020年頃より、世の中は200年続いた土の時代から、風の時代に移行しています。土の時代は目に見えるもの(物品や名誉・地位)を所有することに価値が置かれていました。対して、風の時代は情報や知識、才能、人脈など、目に見えないものを表し、それらを駆使しながら個性を表現することに価値が置かれる時代になると言われています。

 つまり、「持たないこと」の大切さが重視される時期であり、目に見えないものの価値が評価される時代となります。
 例えば、人とのコミュニケーションや教養などが、これまで以上に求められる時代になると考えられます。「人からどう思われるか」ではなく「自分にとっての幸福とは何か」について考え、「今後どう生きていきたいか」「何を大事にすべきか」を再考する時代なのかもしれません。

 今回の学術集会は「紡ぐ、つながる 理学療法」をテーマに掲げ、もう一度、我々理学療法士のつながりを再考し、改めて理学療法を通じた人と人のつながりを構築する機会となることを祈念しております。
 また、多様化する理学療法の世界において何を大切にし、それぞれの目指す理学療法士像を再考する機会となれば幸いです。

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